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漢方薬を取り巻く現状と新型コロナ後遺症治療について ~新年のご挨拶に代えて~

[2023.01.09]

当院は私が院長となり6回目の新年を迎えております。これは一重にご利用下さっている患者様と頼りない私を支えてくれるスタッフのお蔭だと感謝に堪えません。有難うございます。

 新年のご挨拶に代え、皆様に私の専門でもある漢方薬を取り巻く現状と、コロナ後遺症への漢方薬の可能性についてお話させてください。
 
薬品が新型コロナ感染流行のあおりを受け、出荷調整がかかっていることは周知のことと思いますが、ご多分に漏れず、漢方薬も同様に出荷調整がかかっています。
実際、今まで内服していた処方が入手できない事態が生じている患者様もおられ、心苦しく思っております。メーカー各社、使用量を想定して順番に製造努力している様ですので、しばらくご容赦の程お願い致します。それまで、極力近い内容で内服いただけるよう、対応させていただきます。
 前後しますが、そもそも漢方薬とはなにか?について少し書かせてください。
漢方薬は、複数の生薬を組み合わせて作られます。有名な葛根湯は、桂枝(シナモン)、葛根(クズ)、生姜(ショウガ)、大棗(ナツメ)、芍薬、麻黄、甘草の7種類の生薬からできています。これらを規定量でブレンドしてグツグツ煮だしたものが葛根湯になります。私は、初診の患者様には「エキス剤の粉薬でも冷たい飲み物では絶対に飲まないで下さい。」とお願しますが、その理由はこのように元来「煮出したもの」が漢方薬だからです。生薬で作ったスープ(湯)ですから、可能であればお湯で溶いて温かい状態で飲んで頂くことが、より効果的な内服方法だとお伝えしています。
 漢方薬を構成する生薬は自然界に存在する植物が中心ですが、実際使われている生薬は野原に生えている天然物は殆どありません。主に中国等から輸入されています。但し基本的に各メーカーが、現地で厳密な品質管理の元、栽培されていますのでどうぞご安心下さい。(数年前に週刊誌が残留農薬問題を書きましたが、濃度の単位をかなりずらしてセンセーショナルに報じた誤報でした。) 
一方で、現地での良質な生薬の調達も、中国の経済発展に伴い国内消費が増えたため、困難になっているそうです。結果的に良質な生薬を取り合うことになるので、尚更、日本と中国の関係が良好でいて欲しいと漢方医としては切望しています。

 

 そして新型コロナ感染症も収束も見えないまま3年目になりました。
後遺症を漢方薬で治したいとお見えになる患者様も増えています。
当院では、処方に漢方エキス製剤(粉薬)を用いる事が多いのですが、後遺症の方の場合は昔ながらの煎じ薬(ご自身で生薬を煎じていただき内服)を処方することがあります。
例えば人参養栄湯(にんじんようえいとう)は、ブレインフォグや倦怠感、咳に有効とされていて、エキス剤もありますが、症状が強いときには煎じ薬を用いた方がより効果があると感じております。
さらに倦怠感が強い方には、もともとこの処方の構成生薬で元気を出す黄耆(おうぎ)を増量したり、他の生薬を増減(匙加減)する事でより効果的な治療ができると実感しています。また、嗅覚低下に用いる麗沢通気湯(れいたくつうきとう)は煎じ薬でしか処方できません。当院ではこれらの煎じ薬も基本的に保険適応で対応させていただいております。(現在、煎じ薬を処方する医師はかなり少数派のようです。)
 もし、罹患後の後遺症を漢方薬で治療ご希望の際には、ご予約の上ご来院ください。
まずはお話を伺い、脈やお腹・舌を拝見し、お一人お一人にあった処方を考えさせていただきます。
今年も、漢方薬を中心として皆様の健康を支えるお手伝いを誠心誠意させていただきたいと思います。

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