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前立腺肥大症について

どんな病気?

前立腺肥大症とは、加齢に伴う前立腺の移行領域(内腺の一部)および間質細胞の過形成に より肥大し、排尿困難が生じて様々な下部尿路症状を呈する疾患です。肥大には男性ホル モンが強く関与しています。前立腺の大きさは加齢によって増大し、50〜60歳代では 50%、80歳代では90%で肥大が見られます。

どんな症状がある?

症状は経過により異なります。前立腺肥大症では、排尿機能障害の程度によ3つの時期に分けられます。

第1期(刺激期)

排尿後不快感、残尿はない、夜間頻尿(通常夜間尿が2~3回以上の時を夜間頻尿という)、 軽度の排尿困難。

第2~3期(残尿発生期)

残尿発生(膀胱内の尿を完全に排泄できない)、尿路感染など、進行すると高度の排尿困難と頻尿。 

第4期(尿閉期)

尿閉や尿失禁、腎機能の低下、完全尿閉では腎機能障害や尿毒症を呈する。

なぜ起きる?

前立腺肥大症の尿道閉塞が起きる原因は、前立腺移行領域が肥大することで生じる物理的な機械的閉塞と、前立腺内や膀胱頸部の平滑筋が過剰に緊張・収縮することで生じる機能的閉塞があります。症状の出現には両方が関与しており、前立腺が肥大(機械的閉塞)→平滑筋が過剰に収縮する(機能的閉塞) という流れで、尿道が狭窄します。

どうやってわかる?

前立腺肥大症は前立腺がんとの鑑別が重要です。PSA 値が10 ng/mL 以上の場合はがんを疑うこともあります。

直腸内触診

前立腺肥大症では表面は平滑ですが、前立腺がんではこぶしを握ったときの指関節のように表面がごつごつと感じられます。

血液検査
  • 前立腺特異抗原(PSA: prostate specific antigen)上昇、上昇率は前立腺癌>前立腺肥大症
  • 前立腺酸性ホスファターゼ(PAP: prostatic acid phosphatase)上昇、上昇率は前立腺癌>前立腺肥大症
超音波像
  • 超音波検査は前立腺の形や大きさ観察し、前立腺癌との鑑別に有用な場合があります。
  • 経直腸的、経腹的などの見方がありますが、前立腺癌との鑑別や重量の測定には経直腸的超音波検査がより優れています。
  • 経腹的超音波検査は残尿量の測定や腎臓の異常所見の有無を判断するための検査としてよく用いられています。

どう治す?

第I~第II期が薬物療法の対象となります。前立腺の肥大には、男性ホルモンが関与するためホルモン療法も有効です。薬物治療に抵抗性を示す場合(第V期)は、手術適応になります。

薬物療法

薬物療法の第1選択は、α1受容体遮断薬です。抗男性ホルモン薬は前立腺容積を収縮せせるものの、即効性には乏しい薬です。

  • α1受容体遮断薬(プラゾシン、タムスロシン、シロドシン、ナフトピジルなど)
  • 抗男性ホルモン薬(クロルマジノンなど)
  • 5α還元酵素阻害薬(デュタステリド)
  • PDE5阻害薬(タダラフィル)
漢方治療

六味丸を基準に、痛みや冷えのある方が八味丸、さらにむくみがある方は牛車腎気丸を用います。また、必要に応じて桂枝茯苓丸なども併用します。

  • 六味丸
  • 八味丸
  • 牛車腎気丸
  • 桂枝茯苓丸
手術(TUR-P)

前立腺肥大症の主な手術療法には、TURP (経尿道的前立腺切除術)と開放手術(被膜下前立 腺腺腫核出術)があります。

TUR-Pは、開腹手術に比べて侵襲が少なく術中の出血が少ないなどの理由で、前立腺肥大症の標準的な手術法となっています。また、推定容積が100 mLを超えるような大きな肥大の場合には、レーザーを用いた前立腺核出術(HOLEP)や被膜下前立腺腺腫核出術が適応となります。

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