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糖尿病について

どんな病気?

2012年の調査では、糖尿病治療中もしくは糖尿病が強く疑われる人は950 万人、“糖尿病予備群”も含めると2,050万人にのぼり、生活習慣病のある成人の約5人に1人で糖尿病が疑われています。 糖尿病は1型と2型に分けられ、インスリン作用の絶対的もしくは相対的不足により起こる慢性の高血糖を主徴とし、様々な代謝異常をきたす疾患です。高血糖が長期にわたると、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経症 をきたします。 1型、2型ともに発症には遺伝因子が関わっていますが、その関与は2型の方が強いとされています。

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1型糖尿病2型糖尿病妊娠糖尿病について

インスリンってなに?

21個のアミノ酸からなるポリぺプチド(A鎖)と30個のアミノ酸からなるポリペプチド(B鎖)が、2か所で結合してできています。分泌される前にインスリンとC-ペプチドに分離して同時に分泌されます。このC-ペプチドは尿中に安定して排泄されるため、尿中C-ペプチドの測定により、ある一定期間内のインスリン分泌総量を測定することができます。

インスリンの分泌は血糖濃度に強く依存しており、血糖の上昇により膵臓のランゲルハンス島B細胞から分泌されます。

インスリンには血糖低下はもちろん、血清カリウム値の低下作用ももちます。

どんな症状がある?

糖尿病の症状は多少の差はあるものの、1型2型で大きな違いはありません。自覚症状は出にくく、診断確定時には既に合併症が認められていることがあります。糖尿病の症状は、血中や組織中の糖質濃度の上昇によって生じます。高血糖 が数週間~数か月続くと、口渇、多飲、多尿、急激な痩せを認めることがあります。これを急性症状といいます。また、10年以上の長期にわたり高血糖が続くと血管障害(細小血管障害と大血管障害)による慢性合併症を認めます。

(1)急性障害

 代表例は脱水症状になります。血糖の増加により、浸透圧性利尿が生じて細胞内の水は血中へと移行し、尿中へと排泄され、脱水状態に至ります。脱水症状では、口渇、多飲、多尿をきたし、体重が急激に減少します。

(2)合併症
a)急性合併症

急性合併症は命に関わる大変危険な症状です。

  1. 高血糖緊急症(糖尿病昏睡)
    ケトアシドーシス性昏睡と高浸透圧高血糖症候群に分けられ、ともに意識障害が認められます。
  2. 急性感染症(シックデイ)
    糖尿病患者は、白血球の病原体に対する力の低下により、感染症に罹患しやすくなります。尿路感染症や皮膚感染症にかかりやすく、肺結核も時にみられることもあります。糖尿病患者が手術や抜歯を受ける際には、注意が必要になります。
b)慢性合併症

慢性合併症は大きく血管障害による合併症とその他に分けられます。さらに血管障害は細小血管障害と大血管障害(動脈硬化性血管障害)に大別されます。

細小血管障害は、毛細血管の病変から始まり、糖尿病に特徴的な合併症です。代表的な細小血管障害は、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経症で、三大合併症と呼びます。糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症は最終糖化反応物による微小血管の周囲細胞や血管内皮細胞障害が関与しています。

また、大血管障害は動脈硬化に由来する合併症で糖尿病に特異的とはいえませんが、糖尿病自体が危険因子となり、他の危険因子(高血圧、脂質異常症、 肥満、喫煙など)と絡み合って発症します。これらの合併症以外にも白内障、緑内障、骨粗鬆症なども生じます。

どうやってわかる?

糖尿病は、血糖値や糖化ヘモグロビンを測定することで診断されます。その他、尿糖検査なども診断の助けになります。微量アルブミン尿測定は糖尿病性腎症の早期発見に有用です。

(1)血糖値
  1.  早朝空腹時血糖値126mg/dL以上
  2.  75gOGTTで2時間値200mg/dL以上
  3.  随時血糖値200mg/dL以上
  4.  HbA1cが6.5%以上

1)~4)のいずれかが認められた場合は「糖尿病型」と判定します。 ただし、1)~3)のいずれかと4)が確認された場合は糖尿病と判定されます。また、血糖値が糖尿病型を示し、糖尿病の典型的な症状(口渇、多飲、多尿、 体重減少など)、または確実な糖尿病性網膜症のいずれかが認められる場合は、初回検査だけでも糖尿病と診断できます。

(2)血糖コントロールの指標

糖尿病における血糖コントロールの指標には、主に糖化ヘモグロビン(HbA1c)と糖化アルブミン(GA)の2つが使われます。

  • 糖化ヘモグロビン(HbA1c) : 長期間(約2ヶ月)の平均血糖値を反映します。
  • 糖化アルブミン(GA) : 短期間(約1週間)の平均血糖値を反映します。
(3)インスリン分泌能の指標

インスリン分泌能の指標には血中インスリン値と血中・尿中C-ペプチド値を用います。インスリン分泌能の測定は、膵β細胞の機能を知る指標となるため、2型糖尿病の薬剤選択や経口血糖降下薬が効かなくなった時に行われ ます。

  • 血中インスリン : インスリン抵抗性がある場合には、代償的インスリン過剰分泌が生じるため高インスリン血症を呈します。
  • 血中・尿C-ペプチド : C-ペプチドはインスリンの一部が切り離されて 血中に分泌されるので、膵β細胞機能の目安となります。肥満とされる方では、高インスリン血症を認めC-ペプチドも高値を示します。
(4)インスリン抵抗性の指標

インスリン抵抗性の指標には早朝空腹時のインスリン分泌量と血糖値により算定されるHOMA-IRが用いられます。この値が1.6以下で正常、2.5以上で インスリン抵抗性を疑います。

HOMA-IR =空腹時インスリン(μU/mL)×空腹時血糖値(mg/dL)/405

治療法はある?

糖尿病は完治が難しい疾患になります。したがって、治療目的は糖尿病性細小血管合併症と動脈硬化性疾患の発症と進展を防止し、健常者と変わらない日常生活の維持と寿命を確保することになります。

具体的な治療薬などは、1型糖尿病2型糖尿病にて詳しく説明します。

1型糖尿病

どんな病気?

膵臓B細胞の破壊による絶対的インスリン欠乏により生じる糖尿病で、自己免疫性と特発性に分けられます。
自己免疫性では膵B細胞に対する自己抗体の産生により、膵B細胞が破壊されインスリンの絶対的分泌不全をきたします。また、特発性では自己抗体が認められないまま、インスリン依存状態に至るものをいいます。

どうやって治す?

1型糖尿病はインスリンの絶対適応となり、インスリン製剤での治療が不可欠になります。
就寝前(または朝食前) に基礎分泌を補う持効型溶解インスリンを、毎食前に追加分泌を補う超速効型インスリンを注射します。

治療上の注意点

1型糖尿病で注意すべきは低血糖の予防になります。1型糖尿病は特に血糖コントロールが難しく、運動のなどによりインスリンの効果が強くなったり、インスリンの投与量過剰により低血糖を起こしやすくなります。そのため、低血糖には十分な治療・予防が求められます。

  1. 低血糖発作時
    発作時は吸収の早いグルコース(単糖類)を摂取します。低血糖の症状(動 機、冷や汗、震えなど)を感じたらすぐに食べられるよう、常に持ち歩く必要があります。
  2. 低血糖発作の予防
    運動時や夜間の低血糖を予防するために、あらかじめ吸収の遅い多糖類を食べておくと効果的です。

2型糖尿病

どんな病気?

全糖尿病の95%以上を占め、生活環境の急速な欧米化(摂取カロリーの過剰、肥満、運動不足など)や高齢化により、現在日本の2型糖尿病患者は増え続けています。近年では肥満児の増加に伴い、小児においても2型糖尿病が増加しています。

2型糖尿病は、主にインスリンの分泌障害と抵抗性が関与しており、インスリン分泌の低下や肝臓や筋肉などの標的組織のインスリン感受性低下により、インスリン作用の相対的不足に至るものをいいます。

どうやって治す?

(1)一般療法

まず適切な食事療法と運動療法を行います。食事療法と運動療法も医師による処方の1つです。

食事療法の目的は、患者の代謝状態を可能な限り正常に近づけ、インスリン分泌異常およびインスリン抵抗性を改善し、合併症の発症・進行を防ぐことになります。
また、食事療法は短期的な効果(食後高血糖の防止)はもちろん、続けることによるインスリン感受性の向上が重要な目的になります。

これらを2~3ヶ月続けても、なお血糖値が高い場合には経口血糖降下薬又は適切なインスリン製剤を用います。

当院では、管理栄養士による栄養指導も行っております。

(2)薬物療法 

食事・運動療法で十分な効果が得られない2型の治療に用いられ、各個人の病態によって使い分けます。肥満を合併する場合にはピグアナイド薬/SGLT-2阻害薬が用いられることが多いです。食後高血糖改善薬は単独では発症早期に食後高血糖の改善のために用います。

治療上注意を要する場合

糖尿病患者が治療中に発熱、下痢、嘔吐をきたし、または食欲不振のため に食事ができないときをシックデイと呼びます。シックデイの際には、以下の事に注意が必要です。

  • インスリン治療中の患者では、食事がとれなくても自己判断でインスリン注射を中断してはならない。
  • 十分な水分の摂取により脱水を防ぐ。
  • 食欲のないときは、日頃食べなれている口当たりが良く消化の良い食物を選び、できる限り摂取する。特に炭水化物と水分の摂取を優先する。

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