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高血圧について

どんな病気?

一般に高血圧は、診察室血圧が120/80 mmHg以上のどちらか一方、又は両方の場合を高血圧と判定します。2019年に新しい診断基準が作成され、今までより数字が引き下げられました。

近年では食生活の欧米化を背景に、肥満やメタポリックシンドロームなどを合併する高血圧患者も増加しており、高血圧以外のリスクや他疾患をも考慮した治療が重要となっています。

どうして起きる?

高血圧患者の90%以上を占める本態性高血圧は、遺伝的な因子と環境的な因子が絡み合って発症します。特に環境因子としては、アルコールの過剰摂取、喫煙、肥満、食塩の過剰摂取、身体活動の低下が挙げられます。

生物が海から陸に上がった時点で、生命維持に必要な塩分(ナトリウム)は貴重品になりました。ですので、なるべく取り入れたナトリウムを捨てないようにして生命を維持しようとします。しかし、ナトリウム単独で体内に維持することが出来ず、水と一緒に体内に貯めることになり、血管内の水分量が増えることで血圧が上昇します。また、体重が増加することにより、心臓が全身くまなく血液を回す場所が増え、心臓が頑張ることで血圧が上昇します。

かつては、日本の高血圧者が多い理由として食塩の過剰摂取が挙げられていました。最近では1日男性10.3g、女性8.8g(平成29年国民健康栄養調査)と低下傾向にありますが、目標は男性8g未満、女性7g未満とされています。また、一方で肥満に伴う高血圧が増加しています。

どんな症状がある?

高血圧の恐ろしさは、自覚症状がないにもかかわらずどの年代でも血圧値が高いほど、合併症による総死亡率は高くなることです。

高血圧は脳卒中や循環器疾患の罹患率・死亡率を高め、慢性腎臓病(CKD) の予後を悪化させます。収縮期血圧10mmHgの上昇は、冠動脈疾患の罹患・死亡リスクが約15%増加させ、さらに男性では約20%、女性では約15%ずつ脳卒中罹患・死亡のリスクを高めます。

どんな種類があるの?

高血圧の分類は測定法、測定場所、原因のそれぞれに分類があります。

測定法の基準として診察室血圧と家庭血圧に、測定場所の違いによる分類では、白衣高血圧と仮面高血圧に分類できます。また、原因による分類では本態性高血圧と二次性高血圧に分けられます。

どうやってわかる?

一般の人は診察室血圧で120/80mmHg以上の患者を高血圧と診断します。心血管における合併症の抑制における24時間の厳格な血圧コントロールの重要性から、診察室血圧及び家庭血圧両者それぞれの降圧目標を設定しており、家庭血圧に対する血圧基準値が新たに設定されました。家庭血圧に対する基準値は上記の診察室血圧基準値よりも収縮期・拡張期とも5 mmHg 低い値に設定されています。家庭血圧の測定は、白衣高血圧や仮面高血圧の診断のみならず、高血圧の治療効果判定に有用です。糖尿病患者・CKD患者は、75歳未満で130/80mmHg未満、75歳以上で140/90未満に維持するように決められました。何れにせよ、すべての患者に生活習慣の修正が徹底されなくてはなりません。

なお、家庭で測定する血圧計は、なるべく肘で測定する機械の方が良いとされています。

どうやって治す?

治療の目標は、高血圧の程度を見て安全なレベルまで血圧を低下させ、脳血管障害、虚血性心疾患あるいは腎障害などの重症合併症の発症を抑制し、患者が充実した日常生活を送れるように支援することです。

現代人の生活習慣、すなわち食塩・カロリー・アルコールなどの過剰摂取、ストレスや運動不足は高血圧を悪化させるため、治療の基本は生活習慣の修正です。

(1)一般療法(ライフスタイルの改善)

食事療法として、食塩制限(減塩)、体重管理(減量)を行います。
食事は、ナトリウムを排出するのに必要なカリウムの多い野菜・果物、動脈硬化の原因となるコレステロールや飽和脂肪酸の摂取制限と、動脈硬化改善が期待できるEPAやDHAを含む青魚の積極的摂取を行います。

また、適度な運動、規則的生活、禁煙、精神的ストレス制限、アルコール制限(節酒)も重要になります。

(2)薬物治療

一般療法で十分な効果が得られなかった場合に行います。積極的な適応のない場合には、主要降圧薬であるCa²+チャネル遮断薬、アンギオテンシンII AT1 受容体遮断薬(ARB)、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、利尿薬の中から最も適するものを1剤選んで少量より開始します。降圧目標を達成するためには、多くの場合2、3剤を併用します。合剤により処方を単純化することはアドヒアランスの改善、血圧コントロールの改善に有用です。高血圧は季節変動やストレスに左右されるため、定期的にコントロールを確認しながら薬の増減を行います。

妊婦の場合、妊娠20週未満の患者はメチルドパ、ヒドララジン、ラベタロールが、20週以降はニフェジピンも使用が可能になります。

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