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気象病・天気痛と五苓散(2022/4/6改編)

[2022.04.06]

オペラシティクリニック院長の室賀です。
皆さんの中には、天気が悪くなると体調が優れない方もおられると思います。そのような天候による体調不良を「気象病」といいます。

この「気象病」、日本では正式な病名ではありませんが、最近は「天気痛(気象痛)」とも呼ばれ認知が広がって来ました。
日本では「雨が降ると古傷が疼く」とか、「リューマチが痛むから明日は雨だ」など、昔から経験として言い伝えられてきた事実があります。気象医学は、まだ我が国ではポジションは小さいですが、ドイツなどでは重視されています。
 さてこの低気圧による体調不良、代表的な症状として、頭痛・めまい・喘息・腰痛や肩こり・関節痛・神経痛・吐き気などの症状がみられます。症状が起きるタイミングも、天気が崩れる2日位前からの方、天気が回復する時の方など様々です。特に日本は湿度が高いので、台風や低気圧が来ると体調を崩す方が増えるようです。最近の研究では、「気圧の微妙な変化が耳に作用して自律神経を乱す」ということがわかって来ました。
 気象病の中でも低気圧に関連する頭痛には、下痢・嘔吐を伴う急性胃腸炎やむくみに使われる五苓散が頻用されます。この処方は、体内の水分バランスを整える働きがあり、実は二日酔いの特効薬として知る人ぞ知る薬。
そして、この五苓散が頭痛に有効なのを見いだしたのは昭和漢方の大家、矢数道明先生(実は祖父)です。しかしその時点ではなぜ有効なのかは解明できませんでした。その後、20年ほど前に名古屋の先生が、近所の工場の煙のたなびく方向と頭痛患者さんの数に関連があることに気がつきました。そこで市内の先生方に協力を求め、「五苓散」と「低気圧の頭痛」の関係を調査したところ、雨の前日に頭痛がする方には五苓散が非常によく効いたそうです。おそらく気圧の変化で、数字では捉えられない水分バランスのわずかな乱れ(漢方では水毒といいます)が原因と漢方的には考察されています。
 私も、低気圧による頭痛を自覚される患者さんの多くに、五苓散を用いて喜ばれています。でも、人は十人十色。漢方では、同じ症状でもそれぞれにフィットする処方は違ってきます。脈やお腹の所見など個人個人の微妙な症状の違いを丁寧にお話を伺いながら、処方を考えていきます。また、薬にあった飲み方をお願いし(漢方薬は元々煎じ薬ですからぬるま湯で飲むことをお勧めしますが、吐き気のある時は五苓散を水で飲むと効果アップ)、時にはメーカーを変えてみたり、他の処方を組み入れるなど、お一人お一人に合わせた変更をして改善することもあります。
ここまで読まれて、「この体調不良、天気のせい?」と思われた方は、漢方をお試しになってはいかがでしょうか?

 当院の漢方薬は保険適応ですので、お気軽にご相談下さい。

受診ご希望の方は一般診療:漢方内科よりご予約をお願い致します。

また、漢方をより詳しく知りたい方は専門医による漢方の基本もご覧ください!

室賀一宏

オペラシティクリニック院長

日本東洋医学会漢方専門医。

東京医科⻭科大学院卒。ʼ08年〜ʼ19年 同大准教授、日本大講師を歴任。 

 30年間、救急医療を主とする病院の 腎臓内科・一般内科に勤務し、2017年 10月より現職。真摯に患者と向き合い、 個々に合わせた最善の診療を心掛ける。 患者アンケートでも高評価を受け、 前職場にて今も続ける漢方外来は3ヶ月の 予約待ち。著書(共著)に『漢方内科・(腎・泌尿器疾患)』、 『スキルアップのための漢方相談ガイド』  など。 

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