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気象病と五苓散

[2020.06.30]

皆さんの中にも、天気が悪くなると体調が優れない方がおられると思います。そのような天候による体調不良を「気象病」といいます。この「気象病」、日本では正式な病名ではありません。しかし、「雨が降ると古傷が疼く」とか、「リューマチが痛むから明日は雨だ」など、昔から経験として言い伝えられてきた事実があります。気象医学は、日本ではまだ認知されていませんがドイツでは重視されています。

 さてこの低気圧による体調不良、代表的な症状として、頭痛・めまい・喘息・腰痛や肩こり・関節痛・神経痛・吐き気などの症状がみられます。特に日本は湿度が高いので、台風や低気圧が来ると体調を崩す方が増えるようです。

 気象病の中でも、低気圧に関連する頭痛には五苓散が頻用されます。五苓散は、元々は下痢・嘔吐を伴う急性胃腸炎やむくみに使われる処方でした。つまり体内の水分バランスを整える働きがあり、二日酔いの特効薬として知る人ぞ知る処方です。この五苓散が頭痛に有効なのを見いだしたのは昭和漢方の大家、矢数道明先生(実は祖父)です。しかしなぜ有効なのかは解明できませんでした。その後、20年ほど前に名古屋の先生が、近所の工場の煙のたなびく方向と頭痛患者さんの数に関連があることに気がつきました。そこで市内の先生方に協力を求め、「五苓散」と「低気圧の頭痛」の関係を調査したところ、雨の前日に頭痛がする方には五苓散が非常によく効いたそうです。おそらく気圧の変化で、数字では捉えられない水分バランスのわずかな乱れ(漢方では水毒といいます)が原因と考察されています。

 私も、低気圧による頭痛を自覚される患者さんの多くに五苓散が有効な経験は重ねています。でも、人は十人十色。漢方では同じ症状でもそれぞれにフィットする処方は違ってきます。脈やお腹の所見や個人個人の微妙な症状の違いを丁寧にお話を伺いながら、処方を考えていきます。また、飲み方を工夫するとさらに効果的になることもあります。具体的にはメーカーを変えてみたり、他の処方を組み合わせたり、処方を変更することで改善することもあります。

 当院の漢方薬は保険適応ですので、お気軽にご相談下さい。

また、漢方をより詳しく知りたい方は専門医による漢方の基本もご覧ください!

室賀一宏

オペラシティクリニック院長

日本東洋医学会漢方専門医。

東京医科⻭科大学院卒。ʼ08年〜ʼ19年 同大准教授、日本大講師を歴任。 

 30年間、救急医療を主とする病院の 腎臓内科・一般内科に勤務し、2017年 10月より現職。真摯に患者と向き合い、 個々に合わせた最善の診療を心掛ける。 患者アンケートでも高評価を受け、 前職場にて今も続ける漢方外来は3ヶ月の 予約待ち。著書(共著)に『漢方内科・(腎・泌尿器疾患)』、 『スキルアップのための漢方相談ガイド』 など。 

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