SAS(睡眠時無呼吸症候群)を侮ってはいけない話
院長の室賀です。
マスクと共に頑張った夏も終わりを迎え、過ごしやすい季節を迎えつつありますね。
Withコロナの日々。免疫力を上げるためにも、「質の良い睡眠」は必須です。
今回はこの「質の良い睡眠」を邪魔する睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)についてお話します。
略してSAS(Southern All Starsではありません)と呼ばれる疾患。侮ってはいけません。
この病気は、寝ている間に、呼吸が止まっている病気です。イビキをかいている時、突然息が止まるコントを見たことがありませんか?
何年か前に、この病気で新幹線の運転士さんが居眠り運転したとが話題になったことがあり、広く知られるようになった疾患でもあります。
この病気の症状は、「日中の眠気」や」「熟眠感の不足」「イビキをかきながら突然の呼吸停止」などです。
かく言う私も結婚当初、家内から「イビキが酷いし一瞬静かになり、呼吸が止まっていて死んだかと思うことがあり、おちおち寝てもいられない」と言われました。検査をすると、まさに自分自身が無呼吸症候群だったのです。研修医の時には、カンファレンスで座ると寝てしまうことが日常で、助教授の先生からは、「弁当でも食べながらでないとスグ寝るヤツ」と言われていましたが、これも今思えば無呼吸の症状だったのです。(だと思っています)
無呼吸症の方は呼吸停止時に血中の酸素濃度が正常の方の半分近くまで下がります。この酸素の少なさは、首を絞められているに匹敵し危険を伴う低さです。
発症する方は体格的に太っている方が多いのですが、痩せている方でも顎が小さいと寝ているときに舌が落ち、喉を塞ぐためSASになります。
これを放置すると、全身が定期的に酸欠状態になり、そのたび心臓が無理をするため、高血圧や心疾患、脳卒中に繋がる場合もあります。
(逆に、SASを治療することで高血圧の改善も期待できます)
「もしかしてSAS?」の疑いのある方には、まずは自宅でできる簡易検査を受けて頂きます。直接、業者さんと連絡を取って都合を合わせて頂き、届いたキットを使いご自宅で検査を行います。具体的には大きめの腕時計のような機械をつけて一晩眠り、翌日返送して頂きます。結果は、2週間程度でクリニックに届きます。
軽症の方はマウスピースを、重症の方はCPAP(マスクで口と鼻を覆う、小さな人工呼吸器)、中間の方は精密検査を受けて頂くことになります。
因みに私はマウスピースを使っていますが、外して寝ると日中のけだるさが顕著に悪化します。もう一生、手離せません。
イビキは万病の元。「もしかしたら自分もSAS?」と思われる方はきちんと検査をして、質の良い睡眠と生活習慣病予防の為にも治療を受けましょう。
※当院でもSASの検査と治療を行っております。
SASについては、こちらでもご紹介しています。
室賀一宏 オペラシティクリニック院長 日本東洋医学会漢方専門医。 東京医科⻭科大学院卒。ʼ08年〜ʼ19年 同大准教授、日本大講師を歴任。 30年間、救急医療を主とする病院の 腎臓内科・一般内科に勤務し、2017年 10月より現職。真摯に患者と向き合い、 個々に合わせた最善の診療を心掛ける。 患者アンケートでも高評価を受け、 前職場にて今も続ける漢方外来は3ヶ月の 予約待ち。著書(共著)に『漢方内科・(腎・泌尿器疾患)』、 『スキルアップのための漢方相談ガイド』 など。 |